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就業規則の不利益変更の有効性が争われた事案(平12・9・7最一小判)

事案の概要

1.Y銀行が、賃金制度の2度にわたる見直しを行う際に、多数組合(従業員の73%が加入)の同意は得たが、少数組合の同意を得ないまま実施した就業規則の変更により、少数組合の組合員であった従業員Xらは、専任職発令が出され、管理職の肩書を失うとともに、賃金が減額されたため、就業規則の変更は、同意をしていないXらには効力が及ばないとして、専任職への辞令及び専任職としての給与辞令の各発令の無効確認、従前の賃金支払を受ける労働契約上の地位にあることの確認並びに差額賃金の支払を請求したもの。

2.青森地裁は就業規則変更の効力を否定し、仙台高裁はその効力を認めた。最高裁は、就業規則変更の効力を認めず、破棄差戻とした。

 

判決の骨子

その1

本件における賃金体系の変更は、短期的にみれば、特定の層の行員にのみ賃金コスト抑制の負担を負わせているものといわざるを得ず、その負担の程度も大幅な不利益を生じさせるものであり、それらの者は中堅層の労働条件の改善などといった利益を受けないまま退職の時期を迎えることとなるのである。

その2

就業規則の変更によってこのような制度の改正を行う場合には、一方的に不利益を受ける労働者について不利益性を緩和するなどの経過措置を設けることによる適切な救済を併せ図るべきであり、それがないままに右労働者に大きな不利益のみを受忍させることには、相当性がない。

引用/厚生労働省サイト

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