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有期契約の労働者を雇止めし提訴された事案(平28・12・01最一小判)

事案の概要

1.Yに1年間の有期雇用契約(更新上限は3年間)を定める非常勤講師として採用されたXが、初回の契約更新がなされず雇い止めされた。Xは当該雇い止めを争うとともに、雇い入れから3年後には、Y規程に基づき、期間の定めのない専任教員に転換されたものとして、地位確認を求めた。

Y規程では「勤務成績を考慮し、Yがその者の任用を必要と認め、かつ、当該者が希望した場合は、契約期間が満了するときに、期間の定めのない職種に異動することができるものとする」と定められていた。

2.原審(福岡高判H26.12.12)は、本件有期労働契約(更新上限3年)が試用期間であり、特段の事情のない限り、無期労働契約に移行するとの期待に合理性があるとし、X側の請求を概ね認容したが、本最高裁判決は、概略以下理由を挙げ、原審判断を破棄自判した。

3.近年、パート・有期雇用労働者等を対象に、会社独自の正社員登用制度を設ける例が増えているが、有期契約労働者の雇い止めが無効となった場合、一定の期間経過後、自動的に正社員登用がなされたものといえるかにつき、最高裁が事例的判断を示したものである。

 

判決の骨子

その1

本件労働契約は、期間1年の有期労働契約として締結されたものであるところ,その内容となる本件規程には,契約期間の更新限度が3年であり,その満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する契約職員の勤務成績を考慮してYが必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり,Xもこのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる。

その2

上記のような本件労働契約の定めに加え,Xが大学の教員としてYに雇用された者であり,大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていることや,Yの運営する三つの大学において,3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった契約職員も複数に上っていたことに照らせば,本件労働契約が期間の定めのないものとなるか否かは,Xの勤務成績を考慮して行うYの判断に委ねられているものというべきであり,本件労働契約が3年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない。そして,前記・・・の事実関係に照らせば、Yが本件労働契約を期間の定めのないものとする必要性を認めていなかったことは明らかである。

その3

また,有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換について定める労働契約法18条の要件をXが満たしていないことも明らかであり、他に本件事実関係の下において,本件労働契約が期間の定めのないものとなったと解すべき事情を見いだすことはできない。

引用/厚生労働省サイト

 

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