1.Y社の従業員であるXら2人は、1年以上にわたり女性従業員に対して、極めて露骨で卑わいな発言、侮蔑的ないし下品な言辞等を繰り返した。
2.Y社は、セクハラを理由として、Xらに対し、懲戒処分として30日間ないし10日間の出勤停止処分を行うとともに、懲戒処分を受けたことを理由に降格させた。これらの処分により、Xらの給与と賞与は減額された。
3.Xらは、懲戒処分(出勤停止)及び降格処分の無効を求めた。
4.大阪高裁はXらの請求を一部認めたが、最高裁は、原審でのY社の敗訴部分を破棄し、Xらの請求を棄却した。
Xらが繰り返した発言の内容は、女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感等を与えるもので、職場における女性従業員に対する言動として極めて不適切なものであって、執務環境を著しく害するものであった。
Y社は、職場におけるセクハラの防止を重要課題と位置付け、セクハラ禁止文書の作成・周知、研修への参加の義務付けなど、セクハラ防止のために種々の取組を行っていた。Xらは、管理職として部下職員を指導すべき立場にあったにもかかわらず、セクハラ行為を繰り返したものであって、その職責や立場に照らしても著しく不適切である。
管理職であるXらが反復継続的に行った極めて不適切なセクハラ行為がY社の企業秩序や職場規律に及ぼした有害な影響は看過し難い。
出勤停止処分が懲戒処分として重きに失し、社会通念上相当性を欠くものではない。Y社は懲戒権を濫用したものとはいえず、出勤停止処分及び降格処分は有効である。
引用/厚生労働省サイト