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解雇の種類

解雇には、主に普通解雇、懲戒解雇、諭旨解雇、整理解雇の4つの種類があります。

 

懲戒解雇

懲戒解雇は、労働者が会社の秩序を乱す重大な規律違反や非行を行った場合に行われる、制裁としての解雇です。

懲戒解雇は、懲戒処分の中で最も厳しい処分です。

例えば、会社資金の横領や窃盗、深刻なセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、飲酒運転で他人を傷つけるなど、会社の名誉や信用を傷つける行為をした場合に、懲戒解雇の可能性があります。

普通解雇と最も異なる点は、懲戒解雇の場合、労働基準監督署長に「解雇予告除外認定許可」を申請し、許可を得ることで解雇予告なしに即時解雇ができる点にあります。この即時解雇の場合、解雇予告手当の支払も不要です。

 

懲戒解雇のポイント

■就業規則などに明記

懲戒処分は、従業員にとって大きな不利益をもたらすため、会社は事前に雇用契約書や就業規則で、どのような懲戒処分が行われるかを具体的に明示し、処分の種類を定めておかなければなりません。

中小企業や従業員数の少ない会社では、就業規則が存在しないこともあります。そのような場合、従業員が横領行為を行っても、会社には懲戒解雇に関する規定がないため、懲戒解雇は難しく、行われたとしても無効になる可能性があります。

 

■懲戒解雇を行うことができると規定されている事由に該当

就業規則に懲戒解雇に関する規定があったとしても、具体的な従業員の行為が就業規則に明記されている懲戒解雇の根拠に該当する必要があります。

同一の行為について、戒告やけん責、出勤停止、降格などの他の懲戒処分が既に行われている場合は懲戒解雇することはできません。

 

■従業員に弁明の機会

懲戒処分を実施する際には、従業員本人の弁明を聞く機会を設ける必要があります。

従業員の行為がどれほど重大であっても、この機会を設けない場合、懲戒解雇は無効と判断される可能性があります。

 

■客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であること

懲戒解雇という処分が客観的に見て重すぎる場合には、懲戒解雇が無効となります。

 

諭旨解雇

諭旨解雇は、労働者が重大な規則違反を犯した場合に適用される退職手続きであり、懲戒解雇よりも寛容な措置として行われます。

「諭旨」とは、「さとし告げること」や「言い聞かせること」、「教えさとすこと」という意味を持ちます。諭旨解雇とは、企業が従業員との話し合いを通じてお互いが納得した上で解雇を行う懲戒処分のことです。

懲戒解雇は、懲戒処分の中で最も重い処分ですが、諭旨解雇はその次に重い処分となります。

通常、懲戒解雇に相当するケースでも、本人が反省していることや対象者の将来を考慮して、懲戒解雇を避けるために諭旨解雇が実施されることが多いです。

 

普通解雇

普通解雇とは、従業員が労働契約に基づいた労務を提供しないことの理由で、雇用主から一方的な意思表示によって労働契約が解除される解雇です。

雇用主には、従業員の解雇に関しては非常に厳しい制約がありますが、一方で全ての従業員に対して雇用契約上の安全配慮義務や職場環境配慮義務を負っています。

そのため、問題のある従業員を放置した結果、事故が発生したり他の従業員に被害が生じた場合、事業所としての責任を逃れることはできません。

そのため、問題のある従業員を解雇しなければならないケースも出てきます。

 

整理解雇

整理解雇は、経営状態の悪化により事業の存続を図るために人員を削減する必要がある場合に行われる解雇のことです。

新型コロナウイルス感染の拡大や外出自粛などにより、急速な業績の悪化による従業員削減などで頻繁に耳にされるようになりました。

経営の将来が不確かな企業では、経営判断によっては「整理解雇」が選択されることもあります。

整理解雇は通常の解雇とは異なり、会社の経営や事業継続上必要な場合に従業員の解雇が認められる制度です。整理解雇が認められるには厳しい要件があります。

整理解雇の4要素についてはこちらから

 

 

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