ジョブディスクリプションとは

日本の雇用制度において、「メンバーシップ型」から「ジョブ型」への転換が進んでいます。

ジョブ型雇用においては、業務内容や成果に基づいて評価されるため、ジョブディスクリプション（職務記述書）の整備が欠かせません。

企業が適切なジョブディスクリプションを整備することで、ジョブ型雇用の導入につながる可能性があります。

ジョブディスクリプションとは

ジョブディスクリプションとは、ある職務において、どのような業務内容や責任が求められるのかを明確にした文書のことを指します。

企業においては、採用プロセスの一環として求人広告や面接時に提示され、採用者がその職務の要件を理解するために利用されます。

ジョブディスクリプションには、職務内容や役割、必要なスキルや経験、報酬や福利厚生など、その職務に関連する詳細な情報が含まれます。

これらの情報は、採用プロセスだけでなく、社員の能力開発や業務改善、評価・昇進の判断基準などにも利用されます。

また、ジョブディスクリプションは、企業が従業員の業務を明確化し、適切に管理するための重要なツールとしても機能します。

職務内容や責任が明確にされていることで、従業員は業務遂行において不確実性を減らし、より効率的かつ生産的に働くことができます。

ジョブディスクリプションが注目されている理由

1.業務内容の明確化

業務内容を明確にすることは、従業員が仕事に集中しやすくするために重要です。

ジョブディスクリプションには、その職務で必要な業務内容や責任が詳細に記載されます。例えば、販売員の場合、商品の陳列や販売、顧客対応、売上の管理など具体的な職務内容や必要となるスキル、評価基準などの記載が挙げられます。

業務内容が明確になることで、従業員はどのような業務に対して責任を持っているかを理解しやすくなります。

2.採用プロセスの円滑化

求人広告や面接において、ジョブディスクリプションが提示されることで、採用者はその職務について正確な情報を得ることができます。

これにより、採用者と企業との間での誤解やトラブルを減らすことができます。

また、求職者にとっても、自分が応募する職務について明確に理解することができるため、適切な判断ができるようになります。

3.評価や昇進の基準の明確化

ジョブディスクリプションには、業務内容や責任、必要なスキルなどが明確に記載されています。これにより、従業員がどの程度の業務内容を担当し、どのような成果を出すことが求められているかを把握することができます。そのため、評価や昇進の基準を定める上で重要な役割を果たします。

4.コミュニケーションの改善

ジョブディスクリプションには、業務内容や責任が明確に記載されています。

これにより、従業員と上司とのコミュニケーションがスムーズになります。

従業員がどのような業務に従事しているかを上司が把握できるため、報告や相談が円滑に行われます。

また、従業員が自分の業務内容について理解しやすくなることで、誤解やトラブルを避けることができます。

ジョブディスクリプションのメリット

ジョブディスクリプションの導入によって以下のメリットが考えられます。

１.スキルマッチングの具体的方法

求めるスキルを明確にすることで、採用時にスキルマッチングがスムーズに行われます。

また、求職者との面接や適性検査、職場見学などを通じて、スキルや性格などを把握し、適切な人材を採用することができます。

2.職務評価の明確化

職務評価の明確化により、公正な人事評価が可能となります。

これにより、社員のモチベーションアップにつながるとされています。

3.組織全体の戦略的人事管理

ジョブディスクリプションは、個々の職務の定義だけでなく、組織全体の人事戦略にも影響を与えます。

特定のポジションに必要なスキルや能力を明確にし、人事戦略の策定に役立てることができます。

4.組織の業務効率化

ジョブディスクリプションは、職務内容や責任が明確になることで、従業員の自己責任意識を高めます。従業員が自ら考え、行動することで、組織全体の業務効率化につながると考えられています。

5.従業員の成長促進

ジョブディスクリプションには、その職務に必要なスキルや責任が明確に示されており、従業員が自己のスキルアップや成長を促進することができます。また、人事評価の際には、ジョブディスクリプションに沿った公正な評価ができるため、従業員と企業との間での認識のズレを防ぐことができます。

6.コミュニケーションの円滑化

ジョブディスクリプションには、職務の役割や責任、業務範囲が明確に明示されています。

これにより、従業員同士のコミュニケーションが円滑になり、業務の進行がスムーズになると考えられています。

ジョブディスクリプションの導入によって、求める人材の採用や生産性向上、公正な人事評価など、様々なメリットが得られることが期待されます。