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同一労働同一賃金の影響

同一労働・同一賃金とは

同一労働・同一賃金とは、同じ仕事をしているのにもかかわらず、正社員と非正規社員のような雇用形態によって待遇に差が生じないようにする制度です。この制度は2020年4月から大企業で義務化され、翌年の2021年からは中小企業でも義務化されています。

さらに、厚生労働省は不合理な待遇差を是正するために、給与だけでなく福利厚生、キャリア形成、能力開発などを含めた総合的な取り組みが必要であるというガイドラインを発表しています。同一労働・同一賃金は、待遇の不平等を解消するための重要な取り組みであり、全社員が公平かつ公正に扱われることを目指しています。

同一労働・同一賃金によって、企業側が得るメリットには以下のようなものがあります。

 

■メリット1:非正規雇用労働者のモチベーション向上につながる

 

同一労働・同一賃金制度によって、同じ業務を行う労働者は雇用形態に関係なく給与や福利厚生、キャリア形成が同じになります。このため、非正規雇用労働者も正規雇用労働者と同様の待遇を受けられることで、モチベーションが向上するメリットがあります。

 

■メリット2:人材不足の解消になる

 

同一労働・同一賃金制度の導入により、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇格差が解消されることで、納得感のある給与や福利厚生が得られます。その結果、労働形態による業務分担がスムーズになり、多様なライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。これにより、離職率の低下や求職者数の増加が見込め、人材不足の解消につながるメリットがあります。

 

■メリット3:非正規雇用労働者の能力向上につながる

 

同一労働・同一賃金制度によって、非正規雇用労働者も正規雇用労働者と同じ教育訓練を受講できるようになります。これにより、非正規雇用労働者の能力が向上し、組織の生産性向上につながるメリットがあります。また、同一労働・同一賃金制度によって、能力やスキルに基づくキャリアアップが可能になり、非正規雇用労働者のキャリア形成が促進されるメリットもあります。

 

 

同一労働・同一賃金には、企業側に以下のようなデメリットもあります。

 

デメリット1:人件費の増加

同一労働・同一賃金は、正社員や非正規社員などの雇用形態に関係なく、同じ業務内容で同じ賃金を支払う必要があるため、人件費が増加する可能性があります。このため、同一労働・同一賃金を導入しない企業も多くありますが、これはよくない傾向で、人件費が増加した分を非正規社員のスキル向上や生産性向上に充て、売上増加を目指すことが大切です。

 

デメリット2:待遇差による社員不満の増加

同一労働・同一賃金の導入は、業務内容によって非正規社員に給与格差が生じる可能性があるため、以前は同じ給与だった非正規社員が不満を抱える可能性があります。この問題を解決するためには、社員一人一人に対して丁寧な説明が必要です。

 

デメリット3:労働者への説明に要する時間

同一労働・同一賃金が導入されると、待遇差に不満を持つ社員が増加する可能性があるため、上司は部下に対して評価基準や給与について説明する時間を要することがあります。そのため、正社員や管理職などの負担が増加する可能性があり、企業は、分かりやすい説明資料を作成するなどの対策を講じ、労働者への説明時間を削減するといいでしょう。

 

同一労働・同一賃金の実現のためのポイント

 

企業が同一労働・同一賃金を実現するためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

 

■ポイント1:正社員と非正規社員の業務内容と待遇状況を明確にする

まずは、正社員と非正規社員の業務内容を明確にし、違いを確認します。そして、待遇差がある場合には、具体的に基本給、賞与、各種手当、福利厚生・教育訓練について確認する必要があります。

 

■ポイント2:待遇差の原因を明確にする

正社員と非正規社員の待遇差がある場合には、その原因を明確にする必要があります。

 

■ポイント3:不条理な待遇差を解決するために努める

もし、不合理な待遇差がある場合には、速やかに解決する必要があります。不合理な待遇差があるにもかかわらず、放置しておくと損害賠償を請求される場合があるため注意が必要です。厚生労働省が発表したガイドラインには、不合理な待遇差の詳細な定義は記載されていません。したがって、企業内で同一労働・同一賃金のルールや基準を明確にすることが必要です。