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リスキリング(Reskilling)とは

リスキリング(Reskilling)とは

 

リスキリングとは、現在の職務や分野で必要なスキルに加え、将来に向けて必要とされる新たなスキルを習得することを指します。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する人材の獲得や育成が重要視される中、「リスキリング=デジタルスキルの習得」など、偏った認識で使われる場合もあります。

 

経済産業省はリスキリング(Re-skilling)を以下のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

 

リカレント教育とリスキリング

リカレント教育とリスキリングの大きな違いは、主導者と目的です。

 

リカレント教育は、はたらく個人が主体となり、自己の意志で学ぶことを指します。厚生労働省は、「学校卒業後も、社会人が自ら学び直し、仕事で必要な能力を継続的に向上させること」をリカレント教育としています。また、厚生労働省は、学びや学び直しにおける「労働者と雇用者の協働」を促進するためのガイドラインも策定していますが、主たる目的は、労働者が「自律的かつ主体的に、そして継続的に学びや学び直しを行うこと」です。

「それぞれのタイミングで」という言葉からも分かるように、リカレント教育は、はたらく個人のライフキャリアに合わせて実施され、職業には直接関係のない生涯学習も含まれます。

一方、リスキリングは、企業が主導し、成長領域において新しいビジネスを創出し、より付加価値の高い職務を担える従業員を育成するために、人材戦略の一環として行われます。リカレント教育とは異なり、こちらは、職業に直結するスキルや知識を指します。

 

リスキリングが注目される理由

1.労働力人口の減少

労働力人口の減少という問題も、リスキリングが必要とされる理由の一つです。

労働力不足の中で、デジタル技術による自動化・機械化が進展することで、一部の職種では人材過剰となる可能性も指摘されています。三菱総合研究所の調査によると、2030年までに事務職では120万人の人材余剰が生じる見込みです。このような課題に対し、担当業務が失われる従業員に対しては、リスキリングによって新たなスキルを取得させ、配置転換を行うことが注目されています。

 

引用/三菱総合研究所「目指すべきポストコロナ社会への提言」

 

2.ビジネスモデルの転換

産業構造やビジネスモデルの変化により、新たなスキルを獲得するリスキリングが注目されています。世界経済フォーラムが2020年に公表した「Tne Future of Jobs Report 2020」によると、2025年までに約8,500万人分の仕事が失われ、約9,700万人分の新しい仕事が生まれ、労働者の1/2がリスキリングが必要とされると報告されています。

 

産業構造の変化に伴い、労働者に求められるスキルも変化しています。AIやロボットが決まったことを実行する役割を担うようになる中、労働者は新しい付加価値を生み出すイノベーティブな方向へのリスキリングが必要とされています。

 

3.シニア人材の就労意欲の高まり

長寿社会により、労働期間が長くなりつつあります。日本の定年制度は過去には55歳が主流でしたが、年金受給年齢の引き上げや高年齢者雇用安定法の改正により、現在では70歳までの雇用確保が努力義務となり、定年延長や定年廃止の動きも出てきています。

一方、シニア人材の就労意欲も高まっており、全国60歳以上で現在収入のある仕事をしている人の約4割は「働けるうちはいつまでも働きたい」と考えています。このように、生涯現役のライフスタイルが求められる中、年齢に応じた段階的な「教育」「就労」「リスキリング」「就労」「組織に雇われない働き方」などを繰り返して「引退」に至るマルチステージ型のキャリアへの転換が進んでいます。

 

リスキリングの効果的な進め方

Point1. 現状把握

リスキリングは企業の経営戦略に合わせて実施されるため、必要なスキルや人材は企業によって異なります。そのため、まずは自社の現状を把握することが必要です。

自社が目指す経営戦略に必要なスキルと、現在の従業員が保有するスキルを比較し、両者のギャップを把握することが重要です。そして、このギャップに対応するために必要なスキルを、リスキリングで習得する必要があります。

従業員がどのようなスキルを持っているかを把握することは、スムーズなリスキリングのためにも必要不可欠です。

 

Point2.リスキリング策を企画

リスキリングの学習方法としては、社内研修やオンライン講座、eラーニング以外にも、実際のプロジェクトでOJTとして学ぶなど多様なものが存在します。ただし、リスキリング対象のスキルは専門性が高い場合が多く、社内だけでは簡単に準備できません。

外部の講師を招いたり、学習コンテンツを利用したりすることも検討し、コストや運用の負担に合わせて選択しましょう。

また、質が高くても量が多い場合や、最初から難易度が高い場合は、受講者が離脱する可能性があるため、経営戦略に基づいて獲得すべきスキルの優先順位をつけることが大切です。

 

Point3. 学習環境の整備

リスキリングの教育カリキュラムが決まったら、次に学習環境を整備します。リスキリングは、仕事をしながら学ぶことが必須です。しかし、業務時間外に学習するようにすると、従業員に負担がかかり、学習をやめてしまうことが考えられます。

学習時間を就業時間に組み込むことで、従業員の負担を軽減できるだけでなく、業務に必要なスキルを身につけながら学習することができます。

また、学習管理システムを導入することも有効です。学習管理システムを使うことで、学習プログラムに簡単にアクセスできたり、進捗状況を管理したりすることができます。従業員が学習しやすい環境を整えることが重要です。

 

Point4.実践を通じたスキル習得の提供

学習環境を整備したら、実際の業務においてスキルを活用する機会を提供しましょう。実際の業務においては、学習時には想定できなかった課題が発生することがあります。そうした課題に取り組みながらスキルを磨いていくことが重要です。

しかし、実践できる業務が限られる場合もあります。そのような場合には、シミュレーションや、実践に近い業務を実験的に取り組む場を用意しましょう。スキル習得には、学習と実践がセットであることを理解することが大切です。

 

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