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募集・採用でトラブルを起こさないポイント

求人広告と実際の労働条件の相違

求人広告と実際の労働条件に相違が生じる要因は様々考えられますが、よくある要因としては企業が優秀な人材を採用するために、求人広告で理想的な労働条件を掲載することがあります。採用競争が激化する現代において、求職者に魅力的な条件を提示することで、企業の人材確保につなげようとする意図があるようです。

しかしこのような場合、求人広告で掲載された労働条件が実際の条件と異なることになります。

例えば、給与や福利厚生の面で求人広告には高い水準が掲載されていたが、実際には労働環境が悪く残業が多いなどの問題がある場合があります。

また採用後に、労働環境が変化することで労働条件に相違が生じることもあります。

業界全体で労働環境が変化することで、企業も労働条件を変更せざるを得ない場合があります。例えば、業界全体の人手不足や技術革新により、企業が求めるスキルや人材が変わる場合があります。このような場合、求人広告で掲載された条件と実際の条件に差異が生じることがあります。

求人広告と実際の労働条件に相違が生じる理由は、企業の意図によるものだけでなく様々な要因が考えられます。

 

求人広告で提示された条件と実際の労働条件に相違がある場合、労働者は不満や不信感を抱くことがあり、トラブルに発展するケースもあります。

たとえば、求人広告で提示された待遇や福利厚生、労働時間、業務内容などが実際には異なっていた場合、労働者は求人広告で示された条件に基づいて就職を決めたにもかかわらず、実際の労働条件が違うことに不満を持つことがあります。また、求人広告で示された条件と異なる労働条件が提示されると、労働者のモチベーションが低下することにもつながりかねません。

また求人広告で示された条件と実際の労働条件に相違があると、その事実をSNSで拡散される恐れもあり、そうなると企業の信頼性や評判が損なわれる可能性があります。たとえば、求人広告で示された条件を実現できなかった場合、労働者は企業に対して不信感を持つことがあり、その結果として企業の評判が悪化することが考えられます。

求人広告と実際の労働条件に相違があることで発生する問題を防ぐためには、企業が正確な情報を提示することが重要です。求人広告で示された条件は、実際に企業が提供できるものでなければならず、また労働法や関連する法律や条令に遵守している必要があります。

令和3年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と 実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」によると、ハローワークに掲載された求人票と実際の労働条件に相違がある旨の申し出が、全国で3,870件あったそうです。

 

ハローワーク

引用/「令和3年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と 実際の労働条件の相違に係る申出等の件数

 

求人募集でやってはいけないこと

求人募集においてしてはならない主なことは下記のとおりです。

違法な差別を行うこと

●募集・採用における年齢制限の禁止について

雇用対策法によって、事業主は労働者の募集及び採用について年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ年齢制限の禁止が義務化されています。年齢に関係なく、個人の能力、適性の判断し、均等に働く機会を与えることを目的としています。

【例外として年齢制限が認められる場合】

・定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・労働基準法などで年齢制限が設けられている場合
・長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合

 

●募集・採用における性別による差別の禁止について

男女雇用機会均等法によって、労働者の募集・採用において、性別を理由とする差別が禁止されています。

・募集、採用の対象から男女のいずれかを排除すること
・募集、採用の条件を男女で異なるものとすること
・採用選考で能力、資質の有無などを判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
・募集、採用において男女のいずれかを優先すること
・求人内容の説明など募集または採用に関する情報提供で、男女で異なる取扱いをすること
・60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代または特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合

引用/厚生労働省サイト

●就職差別ととられる質問を行うこと

本人の適性や能力以外の事項を質問することは就職差別ととられますので、質問内容には注意が必要です。

ハローワークの調査によると、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち、「家族に関すること」の質問が約半数を占めているようです。面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いようですので、注意しましょう。

グラフ

 

引用/厚生労働省サイト

●募集・採用における障害者への差別禁止と合理的配慮の提供について

求職者の障害の有無に基づいて、採用・雇用の条件を設定することは禁止されています。障害の有無に関わらず、公平な選考と雇用を行うことが求められます。

 

求職者の個人情報の不当な利用や漏洩

採用活動において、企業や採用担当者は候補者の個人情報を適切に管理する責任があります。求職者のプライバシーと個人情報の不当な利用や漏洩は厳重に避けなければなりません。

・求職者の個人情報を収集する際には、適切な方法と法的な枠組みに基づいて行う必要があります。
・求職者から提供された個人情報は、その人の同意なく第三者と共有することは許されません。求職者の個人情報は、採用プロセスに関与する関係者以外には開示されないようにする必要があります。
・求職者の個人情報は、採用プロセスに関連する目的以外で使用してはなりません。個人情報を営利目的や他の目的で不当に利用することは厳禁です。
・求職者の個人情報は、適切なセキュリティ対策を講じて保管する必要があります。紙の文書やデジタルデータの両方について、アクセス制御や暗号化などの適切な手段を使用して情報の漏洩を防止しなければなりません。
・求職者の個人情報は、採用プロセスが終了した後には不要になります。必要な期間が経過した個人情報は適切に廃棄することで、漏洩のリスクを低減させるべきです。

 

 


自社の採用基準や方法について明確な規定を設け、募集事項と実際の労務環境に異なりがないように注意し、求職者に対して丁寧な対応を心がけましょう。

採用活動の品質を高めることは企業の信頼性を向上させるための重要な要素のひとつです。求職者が良い印象を持ち、他の人々にも積極的に勧めるような体験を提供することで、優秀な人材を引き寄せることにもつながるでしょう。

 

募集・採用でトラブルを起こさないポイント