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メンタルヘルス不調者を出さない、悪化させない対策

労働者のメンタルヘルス不調は、現代社会における深刻な問題の一つです。

具体的な数値を挙げると、以下のような調査結果があります。

日本労働組合総連合会(連合)の「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022」によると、「現在、仕事や職業生活に関してストレスを感じている」労働者は74.3%にのぼり、ストレスとなっていると感じるものの1位「職場の人間関係」、2位「仕事の量」が挙げられています。

また残業時間が長くなるほど、「仕事の量」「仕事の質」がストレス要因との回答が高い傾向にあるようです。

 

グラフ

引用/日本労働組合総連合会(連合)の「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022

 

また厚生労働省の「令和3年度過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の請求、決定及び支給決定件数は年々増えています。

 

グラフ

引用/厚生労働省「令和3年度過労死等の労災補償状況

 

労働者のメンタルヘルス不調は深刻な問題であり、労働者が安心して働ける環境を整備することが企業に求められています。

企業や組織が労働者のメンタルヘルスを重視し、予防や早期発見、支援策などの取り組みを行うことが必要です。また、従業員側においても、ストレスや精神疾患を放置せず、早期に専門医に相談し、適切な対処を行うことが大切です。

 

メンタルヘルス不調を悪化させないために

 

一次予防(未然防止)

メンタルヘルス不調の一次予防として、企業が行うことができる具体的な対策例は以下になります。

●ストレスマネジメントプログラムの導入

従業員がストレスを抱えている場合、生産性の低下や健康リスクが増加する可能性があります。ストレスマネジメントプログラムを導入することで、ストレスを軽減するための具体的な方法や、ストレスに対する適切な対処法を学ぶことができます。

●健康促進プログラムの実施

健康的な生活習慣を促進することは、メンタルヘルスを維持するために重要です。企業は、健康促進プログラムを導入することで、健康的な食事や運動の習慣を身につけることを支援できます。

●キャリア開発プログラムの提供

仕事のストレスは、仕事に対する不安や不満から生じることがあります。キャリア開発プログラムを提供することで、従業員が自分の能力を向上させ、キャリアの成長を促進することができます。

●コミュニケーションの促進

コミュニケーションは、ストレスを軽減するための重要な手段の1つです。企業は、従業員同士のコミュニケーションを促進することで、チームワークを強化し、ストレスを軽減することができます。

 

二次予防(早期発見)

メンタルヘルス不調の早期発見には、以下のような対策があります。

●定期的な健康診断やストレスチェックの実施

従業員に対して、定期的に健康診断やストレスチェックを実施することで、メンタルヘルス不調の早期発見が可能です。問題が見つかった場合には、早期に適切な対処を行うことが重要です。

●職場での精神的な負荷の軽減:

職場での精神的な負荷が高い場合には、定期的に休憩を取ることや、業務負荷の調整などの対策が必要です。また、業務内容に合わせた研修やサポートプログラムの提供も有効です。

●周囲のサポート体制の整備:

職場や家庭、地域など周囲の人々のサポートが必要となります。コミュニケーションを取り、相談しやすい雰囲気を作ることが重要です。また、精神的な支援を行う専門家に相談できる環境を整備することも必要です。

●キャリアアップの支援:

仕事に対するモチベーションが下がったり、キャリアアップの見通しが立たなかったりする場合には、ストレスが蓄積されることがあります。キャリアアップの支援や、モチベーションを高める取り組みを行うことで、メンタルヘルス不調のリスクを減らすことができます。

 

三次予防(職場復帰を支援)

●職場復帰計画の策定

従業員が復帰する際には、職場復帰計画を策定することが重要です。職場復帰の時期や復帰後の業務内容、復帰にあたっての支援内容などを決定し、従業員に伝えることが必要です。

●業務の調整

従業員が復帰した際には、業務内容や負荷を調整することが必要です。従業員の体調やメンタルヘルスの状態に応じて、業務内容や負荷を調整し、復帰後のストレスを軽減することが重要です。

●カウンセリングや療法の提供

復帰後も、メンタルヘルス不調のリスクがある場合は、カウンセリングや療法などの支援を提供することが必要です。従業員が安心して働ける環境を整え、メンタルヘルスの回復を促進することが重要です。

●フォローアップ支援の実施

復帰後も、定期的なフォローアップ支援を実施することが重要です。従業員のメンタルヘルスの状態を把握し、必要に応じて支援を提供することで、再発予防につなげることができます。

 

メンタルヘルス不調者を出さないために

心理的安全性の高い職場に

「心理的安全性(psychological safety)」は、チームや組織内で、メンバーが自分の考えや意見を自由に表明し、誤りやミスを犯しても恐れることなく率直に意見交換ができる状態を指します。このような状態にあるチームや組織は、メンバーが自己表現を促進され、積極的に関わり、コラボレーションやイノベーションを生み出すことができます。

心理的安全性が高い組織では、メンバーはお互いの意見や考えを尊重し合い、オープンな議論を行うことができます。例えば、新しいアイデアや提案を積極的に出し合い、お互いが建設的なフィードバックを提供することで、チーム全体が成長し、業務プロセスの改善や問題の解決につながります。

一方で、心理的安全性が低い組織では、メンバーは自分の意見を述べることに躊躇し、批判されることを恐れて自己表現を抑制してしまうことがあります。その結果、アイデアや問題が放置され、問題が深刻化することがあります。

たとえば、心理的安全性が低い医療機関では、医療ミスや問題点を指摘することができず、患者の健康リスクを増大させることがあります。一方、心理的安全性が高い医療機関では、メンバーが積極的に意見を交換し、問題解決のためのアクションを共同で取ることができます。

心理的安全性は、組織内でのコミュニケーションと協力を促進し、個人と組織の成長を実現するために重要な要素です。組織は、チームメンバーが自由に意見を言い合える環境を提供することで、心理的安全性を高めることができます。

 

心理的安全性が高い職場のメリット

心理的安全性が高い職場には以下のようなメリットがあります。

●チームワークの向上

心理的安全性が高い職場では、メンバーが意見を自由に言い合えるため、意見の対立や意見の押し付けがなくなり、チームワークが向上します。それにより、生産性や創造性が向上し、組織の目標達成につながります。

●ストレスの低減

心理的安全性が高い職場では、メンバーが自分の意見や感情を素直に表現できるため、ストレスや不安が軽減されます。これにより、健康状態が向上し、長期的なパフォーマンスが維持できるようになります。

●社員の定着率の向上

心理的安全性が高い職場では、メンバーが自分らしさを表現でき、自分の意見が尊重されるため、働きやすい環境が整っています。それにより、社員の定着率が高くなり、組織にとっても長期的なメリットがあります。

●イノベーションの促進

心理的安全性が高い職場では、メンバーがリスクを取りやすく、失敗を恐れずにアイデアを出し合うことができます。そのため、新しいアイデアの発見やイノベーションの促進につながります。

●リーダーシップの向上

心理的安全性が高い職場では、上司が率先して意見を求めたり、受け止めたりすることができます。それにより、上司と部下の信頼関係が築かれ、リーダーシップの質が向上することが期待されます。

 

心理的安全性が高い職場環境にするためには

●オープンなコミュニケーションを促す

職場内でオープンなコミュニケーションを促すことで、従業員同士が信頼関係を築きやすくなります。このような環境では、従業員が自分の意見や問題を率直に言い合うことができ、ストレスを解消することができます。

●フィードバック文化を育成する

フィードバック文化を育成することで、従業員が自分の仕事に対して自己評価を行い、自己成長を促すことができます。また、フィードバックを受けることで、従業員は自分が評価されることに対して不安やストレスを感じることがなくなります。

●サポート体制を整備する

職場には、従業員が困ったときに相談できるサポート体制を整備することが大切です。これにより、従業員がストレスを抱えたまま放置されることがなくなります。また、上司や同僚が従業員を支援することで、心理的な安心感を与えることができます。

●ワークライフバランスの改善

従業員のワークライフバランスが悪くなると、ストレスや不安を感じることが多くなります。職場では、従業員のプライベートな時間を尊重し、残業や休日出勤などを極力減らすことで、ワークライフバランスの改善を図ることができます。

 


メンタルヘルスケアの目的は、個人が心身ともに健康で、生産的かつ充実した人生を送ることです。

組織においては、従業員のメンタルヘルス状態が良好であることは、生産性や企業イメージの向上など多くの利益をもたらします。

企業と従業員が協力し合い、メンタルヘルスケアに取り組むことで、従業員のメンタルヘルスを維持し、生産性やワークライフバランスの改善を促進することができます。

 

メンタルヘルス不調者を出さない、悪化させない対策