フリーランス新法において、フリーランスは「特定受託事業者」として定義されています。この特定受託事業者とは、「従業員を持たない事業者」を指します。個人事業主として働くフリーランスはもちろん、一人社長として法人を運営している場合も、従業員がいない場合は特定受託事業者に該当します。
さらに、企業に正社員として働いている人が、副業としてフリーランスの仕事を行っている場合も、この法律の対象となります。たとえば、副業としてウェブデザインやライティングを行い、企業から業務を受託している場合、その人も特定受託事業者として保護されます。
重要なのは、企業との契約関係において、フリーランス側に従業員がいないことが法律の適用条件となっている点です。ここでいう「従業員」とは、1週間に20時間以上勤務し、31日以上の継続雇用が予定されている労働者を指します。これに満たない労働者は「従業員」にはカウントされません。
フリーランスに業務を委託する企業側は「特定業務委託事業者」と呼ばれます。つまり、フリーランスに仕事を発注する企業や個人事業主は、この法律の適用を受けることになります。特定業務委託事業者が守るべきルールとして、取引条件の明示や報酬支払いの義務が定められています。
ただし、家族従業員(個人事業主と同居する親族)は従業員には含まれません。したがって、家族を従業員として抱えている個人事業主は、特定受託事業者として保護される場合があります。
一方、事業を行わない個人やフリーランス同士の取引については、法律の適用対象外です。たとえば、一般の消費者がフリーランスに写真撮影を依頼した場合や、フリーランス同士で売買を行う場合は、この法律の対象にはなりません。
フリーランス新法では、「業務委託」の定義が明確にされています。業務委託とは、企業や事業者がフリーランスに対して何らかの業務やサービスを提供させることを指します。たとえば、製品の作成や情報成果物の提供、サービスの提供などがこれに該当します。
具体例として、企業がカメラマンに宣材写真の撮影を委託する場合はフリーランス新法の対象になりますが、消費者が家族写真を依頼する場合は対象外となります。また、カメラマンが自ら撮影した写真集をネットで販売する場合は売買契約にあたるため、これも法律の適用外となります。