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第1回:「フリーランス新法とは?基本から背景まで徹底解説」

フリーランスの増加と背景

 

昨今、働き方の選択肢が広がる中、「フリーランス」という働き方を選ぶ人が急増しています。かつては企業に雇われる正社員やアルバイト、契約社員が主な働き方でしたが、インターネットの普及や働き方改革によって、より自由で柔軟な働き方が注目され、フリーランスとして活動する人が増加しました。総務省の「令和4年就業構造基本調査」によると、フリーランスを本業としている人は209万人を超え、副業として活動するフリーランスを含めると、その数はさらに多くなります。
一方で、フリーランスの増加に伴い、企業との取引における問題が顕在化してきています。具体的には、フリーランスが業務を受託する際に、企業側から不当な扱いを受けるケースや、契約条件の変更、報酬の支払い遅延、ハラスメントなどが増加しています。こうした問題が背景となり、2023年4月に「フリーランス新法」が制定されました。

 

フリーランス新法の目的

 

フリーランス新法の目的は、フリーランスとして働く人々が、企業との取引において不当な扱いを受けないよう保護することです。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」であり、企業とフリーランスの取引において、守らなければならないルールを明確に定めています。
この新法の施行により、企業はフリーランスに業務を委託する際、法律に基づいた適正な取引を行うことが義務付けられます。これに違反した場合、企業側に罰則が科されることもあります。特に、フリーランスが報酬を適正に受け取れるよう、取引の透明性を確保するための対策が求められます。

 

フリーランス新法が制定された背景

 

フリーランス新法が制定された背景には、フリーランスを取り巻く労働環境の課題があります。内閣官房が行った「令和4年度フリーランス実態調査」によると、フリーランスの多くが「事前に伝えられていた取引条件の変更」「報酬の一方的な減額」「支払いの遅延」といった問題を経験していることが明らかになりました。また、フリーランスが企業からセクハラやパワハラ、マタハラを受けたという報告もありました。
これらの問題を受け、フリーランスの取引環境を改善し、働く人々が安心して活動できるようにするための法整備が求められました。この法律は、従来の労働法制では保護されにくかったフリーランスを対象とする点で画期的です。