近年、猛暑の影響により、作業現場での熱中症リスクが高まっています。これに伴い、厚生労働省は 労働安全衛生規則（安衛則） を改正し、事業者に対し 熱中症の早期発見と重篤化防止のための対策を義務化 する方針を示しました。本改正では、違反時に罰則が適用されるため、企業は適切な対応を講じる必要があります。

本記事では、改正の概要や企業に求められる具体的な対策について詳しく解説します。

労働安全衛生規則の改正概要

厚生労働省は、熱中症による 死亡災害の多くが初期対応の遅れによって発生している ことを重く受け止め、企業に対して 熱中症対策の強化を義務付ける ことを決定しました。

現在、改正案に関するパブリックコメント（意見募集）が実施されており、 2024年4月上旬に公布、6月1日から施行 される予定です。事業者は、早急に熱中症対策を見直し、法令遵守に向けた準備を進める必要があります。

事業者が講じるべき具体的な対策

今回の法改正では、事業者に対し、以下の対策を義務付けています。

熱中症の発生リスクがある作業の報告体制を整備

熱中症の危険がある作業を行う場合、 作業員自身の自覚症状や、他の作業員が異常を感じた際に速やかに報告できる体制を構築し、周知すること が求められます。

• 報告ルールの策定（例：作業員が異変を感じたら直ちに上司へ報告）
• 管理者や従業員への教育・周知
• 報告を受けた際の適切な対応フローの確立

熱中症対策の実施手順を策定し、周知

熱中症の初期症状が現れた場合に、 迅速な対応を取るための手順を事前に定め、関係者に徹底周知 する必要があります。

• 作業の一時中止（高温環境での長時間作業を回避）
• 身体冷却の実施（冷房設備、冷却用タオルや飲料の配備）
• 医療機関への速やかな搬送（救急対応の流れをマニュアル化）

また、従業員が適切に対処できるよう、 事前のシミュレーションや訓練を実施することも重要 です。

企業が今すぐ取り組むべきアクション

6月1日の施行に向け、企業は以下のポイントを押さえて準備を進めましょう。

✅ 作業環境の確認：高温・多湿環境での作業リスクを把握
✅ 報告体制の構築：従業員が異変をすぐ報告できる仕組みを整備
✅ 対応マニュアルの作成と周知：熱中症発生時の迅速な対応フローを確立
✅ 従業員への教育・訓練：熱中症予防策や応急処置のトレーニングを実施

早めの対策を講じることで、 従業員の健康を守り、事業の継続性を確保する ことができます。

FUJI社会保険労務士法人では、企業の安全衛生管理をサポートします

熱中症対策の強化は、 労働環境の改善 に直結するだけでなく、 従業員の健康維持や生産性向上 にもつながります。

FUJI社会保険労務士法人では、 労働安全衛生の専門家が、安全衛生対策や職場環境の改善に関する相談を受け付けています。法改正への対応や職場の安全対策について不安がある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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