近年、正社員と非正規労働者の待遇格差を是正 する目的で導入された「同一労働同一賃金」制度。施行から5年が経過し、厚生労働省は 労働政策審議会 同一労働同一賃金部会 を6年ぶりに開催し、制度の見直しに向けた議論を開始しました。
本記事では、制度見直しの背景や論点、企業が今後どのように対応すべきかについて解説します。
目次
「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事をしている限り、雇用形態にかかわらず公平な待遇を受けるべきである という考え方に基づく制度です。2018年に成立した 「働き方改革関連法」 によって、パートタイム・有期雇用労働法(パート・有期法) や 労働者派遣法(派遣法) などに具体的な規定が設けられました。
この制度により、多くの企業で 非正規労働者の基本給や賞与の見直し、休暇制度の整備 などが進みました。
働き方改革関連法の規定により、施行後5年を目処に制度を見直すことが決められており、2024年2月5日に開かれた厚生労働省の部会では、以下の点について議論が行われました。
現在の法律では、「労働者が求めた場合にのみ」企業は待遇差の内容や理由を説明する義務がある とされています。しかし、調査結果では、労働者の8.0%しか企業に説明を求めておらず、説明を受けたのは5.4%にとどまっています。
労働者委員からは、「労働者が説明を求めなければ、自身の待遇が適正かどうかを判断できない」 との指摘があり、「労働者の求めがあった場合のみ」という要件の撤廃を求める声が上がっています。
一方、企業側からは 「制度のさらなる周知が重要であり、義務強化には慎重な検討が必要」 との意見が出されました。
現在の法律では、正社員と非正規労働者の格差是正が目的 ですが、それに伴い、企業のコスト負担が増加し、一部では 非正規労働者の雇い止め などが懸念されています。そのため、企業が適切な待遇改善を行うための ガイドラインの見直し や、正社員転換制度の促進 も検討課題となっています。
今後の制度見直しを踏まえ、企業は以下の点を意識して対応を進める必要があります。
✅ 待遇差のチェックと見直し
✅ 説明義務への備え
✅ 非正規社員のキャリアパスの整備
法改正が決定すれば、短期間での対応が求められる可能性が高いため、今のうちから準備を進めることが重要 です。
同一労働同一賃金制度の見直しにより、企業の採用戦略や雇用管理のあり方にも影響が出る可能性 があります。FUJI社会保険労務士法人では、法改正に伴う対応、雇用条件の適正化、待遇差の見直しなど、企業の人事労務管理を総合的にサポート しています。
✅ 自社の待遇制度を見直したい
✅ 同一労働同一賃金への対応を強化したい
✅ 非正規社員の採用戦略を見直したい
こうしたお悩みがある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
→ お問い合わせはこちら:https://fuji-roumu.com/