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2023年9月30日、厚生労働省は「ストレスチェック制度等メンタルヘルス対策に関する検討会」に対し、ストレスチェックの実施義務を労働者50人未満の事業場にも拡大する内容を盛り込んだ骨子案を提示しました。この案によると、50人未満の事業場については、労働基準監督署への報告義務は課されない方針です。また、実施に向けて十分な準備期間を設け、事業場規模に応じた体制や方法をまとめたマニュアルの作成も予定されています。
ストレスチェック制度は、労働者の心理的な負担を把握し、職場環境を改善するための取り組みです。医師などが実施する「ストレスチェック」、その結果を用いた「集団分析」、そして分析結果に基づく「職場環境改善」という3つのステップで構成されています。この制度は、平成26年の労働安全衛生法および労働安全衛生規則の改正により導入され、50人以上の事業場に対して実施義務が課されていますが、50人未満の事業場については労働者のプライバシー保護の観点から努力義務にとどまっていました。
令和5年の「骨太の方針」において、メンタルヘルス対策の強化や働き方改革のさらなる推進が明記されたことを受け、厚生労働省は有識者による検討会を設置。法改正から5年以上が経過したこともあり、ストレスチェック制度の見直しについて議論を重ねてきました。
9月30日の第6回会合で提示された骨子案では、50人未満の企業でも外部機関を活用することでプライバシー保護が可能になり、ストレスチェックの実施が現実的であると判断されました。そのため、50人未満の事業場にも実施義務を拡大する方針が示されましたが、事業者の負担を軽減する観点から、労基署への報告義務は課さない方向です。
50人未満の事業場については、ストレスチェックを外部委託することが推奨されますが、事業者自身が実施方針の表明や実施計画の策定に主体的に取り組む必要があります。厚労省は、このような小規模事業場でもスムーズに導入できるよう、実施体制や方法に関するマニュアルを作成し、企業へ広く周知していく方針です。また、義務化までには数年間の準備期間が設けられる予定です。
集団分析や職場環境改善については、引き続き事業場規模にかかわらず努力義務が課されます。特に職場環境改善は、企業ごとに取組み内容が異なるため、現時点では一律の基準を示すことは難しく、「義務化は時期尚早」との見解が示されています。
メンタルヘルス対策の強化は、働き方改革を推進する上で欠かせない要素となっています。企業の規模にかかわらず、従業員の心理的負担を適切に把握し、職場環境を整えることが、企業の持続的な発展に寄与することは間違いありません。厚労省が示した今回の骨子案が正式に施行されれば、小規模事業場も含め、メンタルヘルス対策が一層強化されることが期待されます。
当社と提携しているOffice Platでは、ストレスチェックの実施者資格を持つ公認心理師が、ストレスチェックに関するご相談に対応しております。従業員の心の健康管理やメンタルヘルス対策についてお悩みの企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。専門家のサポートを活用し、早期の対策で職場環境を整えることが、企業の生産性向上と健全な組織運営に繋がります。